ケンコー・トキナースタッフブログ


カテゴリー「商品情報」

コッキン「Z121M」と「NUANCES GND4S」を比べてみました!

 
Posted:2017.04.28 ブログを購読

フランスのフィルターメーカーで、角型フィルターのラインナップに定評がある「コッキン」は長年、プラスチック製のハーフNDフィルター(グラデーションフィルター)を作り続けてきました。高精度な光学プラスチックを使い、染料による染色技術で様々な種類のフィルターをラインナップし、高い評価を得てきましたが、2016年秋に満を持してガラス製のフィルターシリーズ「NUANCES」の一つとして、ハーフNDフィルター(グラデーションフィルター)のシリーズを発売しました。NUANCES GNDシリーズです。そこで、コッキンフィルターの中でずっと定番である「121M」のうち、Lサイズ(100mm幅)の「Z121M」と、同等濃度の「NUANCES GND4S」を同じ場面で使って比較しました。

Z121M.jpg GND4S.jpg
コッキンZ121Mのサイズ違い「A121M」 コッキンNUANCES GND4S

まず使う前にプラスチック製とガラス製のメリット、デメリットを整理すると

 

プラスチック製(コッキンクリエイティブフィルター)

プラス面

・バリエーションが豊富

・軽量

・お手頃価格

マイナス面

・染料のロットによる色味の差がどうしても出る

・傷が付きやすい

・染料が褪色するため、PLフィルター同等の使用期限(約7年)がある

・ガラス製に比べるとフレアやゴーストが出やすい

 

ガラス製(コッキンNUANCES)

プラス面

・色の精度が高い

・コーティングによりフレアやゴーストが抑えられている

・傷が付きにくい

・褪色がなく長持ち

マイナス面

・バリエーションが少ない

・高価

・重い

 

といった点が挙げられます。コッキンNUANCESフィルターは、製品自体が高価なものの、製品自体が傷つきにくく長持ちするため、使用機会が多くて長く使えば、十分元が取れるのかも知れません。

それでは、早速使い比べた結果を見てみましょう。

 

日が昇った海の光景

・効果フィルター未使用

 

DSC_2276.jpg

 

トキナーAT-X 17-35 F4 PRO FX 1/500秒 F4 20mm域 ISO100

日がだいぶ上がっている状況で空の明るさがかなり明るい状況です。

 

・Z121M使用

 

DSC_2278.jpg

 

トキナーAT-X 17-35 F4 PRO FX 1/500秒 F4 20mm域 ISO100

露出値は効果フィルター未使用のものと同じですが、空の明るさが抑えられ、雲の様子なども見えるようになりました。広角レンズでの撮影ですが、ハーフNDの境目もグラデーションで自然にわからなくできています。

 

・NUANCES GND4S使用

 

DSC_2285.jpg

 

トキナーAT-X 17-35 F4 PRO FX 1/800秒 F4 20mm域 ISO100

太陽が上がっている中なので、露出値が変化しています。NUANCESのほうが空の色味がニュートラルに、Z121Mの方が青く見えます。これは染料のロット差があるので、必ずしもブルーになる傾向というわけではありませんが、NUANCESのほうがニュートラルな色傾向です。広角レンズでの撮影ですが、ハーフNDの境目もグラデーションで自然にわからなくできています。

 

岩場の情景

・効果フィルター未使用

 

DSC_2292.jpg

 

トキナーAT-X 17-35 F4 PRO FX  1/160秒 F11 22mm域 ISO100

見た目はもっと岩場に光が当たって輝いているように見えるのに対し、撮ってみると暗い、という印象。見た目の印象に合わせるため、ハーフNDで調整してみました。

 

・Z121M使用

 

DSC_2294.jpg

 

トキナーAT-X 17-35 F4 PRO FX  1/40秒 F11 22mm域 ISO100

ハーフNDフィルターを縦に使い明暗差を調整、岩場を明るく「輝いた」ように調整しました。Z121MはソフトグラデーションのハーフNDとはいえ、砂浜部分で境目が見えます。また、中央やや右寄りにオレンジ色のゴーストが出ています。

 

コッキンNUANCES GND4S

 

DSC_2299.jpg

 

トキナーAT-X 17-35 F4 PRO FX  1/50秒 F11 22mm域 ISO100

Z121M同様に縦方向に使った明暗差調整です。Z121Mで見られたゴーストはなく、コーティングの効果が出ています。境目もなだらかで自然。色味もZ121Mがこのカットと比べればやはり少し青いようです。

 

フィルター自体の価格差が3倍以上もありますが、色味のニュートラルさやゴーストへの対策など、やはり最新のガラス製フィルターとしてのNUANCESの良さが出ています。とはいえ、Z121Mのお手頃価格も魅力に感じる方もおられるでしょう。いずれのフィルターも写真表現を大きく拡げてくれます。ぜひ製品を店頭でご確認下さい。

 

2017年4月21日「角型フィルター活用術」セミナーの内容から抜粋。

(写真・文:広報・宣伝課 田原 栄一)

 

渡月橋でコッキン「NUANCES 256」を使う!

 
Posted:2016.04.30 ブログを購読

2016年4月27日に発売となった、フランス・コッキン社製の新フィルター「NUANCES(ニュアンス)」。NDフィルターで問題となる色転びを避け、フラットな特性を実現したフィルターで、最大ND1024までの高濃度モデルがあります。

今回はフルサイズのカメラにトキナー「AT-X 24-70 F2.8 PRO FX」、さらにコッキン「NUANCES 256」と三脚を持って、関西の出張に。ND256のスペックを活かせる撮影場所として、小学生時代から何度も通った景勝地である、京都・嵐山の「渡月橋」へ向かいました。

 

CK-NUANCES-L256.jpg今回使用した、コッキンNUANCES 256

 

cokin_howto.jpg
角型フィルターなのであらかじめアダプターリングとホルダーが必要です。ホルダーさえつけておけば、取付はフィルターをスライドさせて取り付けるので着脱はラクラク。特に高濃度NDでは、構図決定・ピント合わせをフィルターがない状態で行うので、着脱を頻繁に行います。そういったところでは角型のメリットがあります。

突然ですが、失敗作例から。

DSC_1457.jpgDSC_1458.jpg
左が効果フィルターなし、右がコッキンNUANCES使用。

ところで、渡月橋の手前で撮ったカットで早速失敗・・・ND256は8絞り分の減光。絞りはF16の状態で効果フィルターなしで1/20秒、NUANCES 256使用が10秒というシャッタースピードですが、使用した方が画面真ん中にマゼンタっぽいモヤがでています。
実は雲が多い日で光量も少なかったので「ファインダーからの逆入光」の対策をうっかりせずに撮ったら、見事に逆入光が写り込んだ・・・というものです。

普段は問題が出ない逆入光も、高濃度NDフィルターの世界では、レンズからの光量が数百分の1から千分の1となり、写真に影響します。アイピースシャッターがあるカメラならアイピースシャッターの使用、そうでない場合はファインダーカバーかまたはレンズクロスなどの布をファインダーの接眼窓にかけるだけでも対策できますので、何らかの対策が必要です。

 

 

大堰川の流れ
DSC_1473.jpg

渡月橋の下を流れる、大堰川(桂川)を撮影しました。効果フィルターがない状態でF8.0 1/80秒 ISO-100。流れを黒く、波だった部分を白く表現するため、-1EVの露出補正を行いました。


DSC_1474.jpg

NUANCES 256を使用。絞り優先AEでF8.0 0.8秒となりました。露出補正はそのまま。

 

DSC_1475.jpg
暗く表現されたのが気になり、露出補正を0に。結果F8.0 2秒になりました。ファインダーからの逆入光は露出設定にも影響します。撮ってみてイメージよりも暗い場合は露出補正を調整する必要もあります。

DSC_1529.jpg

 

DSC_1528.jpg

上:コッキンNUANCES 256使用、下:効果フィルター未使用。

コッキンNUANCESは高精度なNDのため、フィルターの有無で色が変わらない・・はずなのに、変化がでた例です。AWB(オートホワイトバランス)を使って撮影した場合、色調の差が出ることはあり得ます。この例はAWBでの撮影でしたので、太陽光マークに合わせ直したところ、色調の差が出ることはなくなりました。

 

DSC_1512.jpg

効果フィルター未使用F8.0 1/40秒 ISO-100 24mm域

 


DSC_1513.jpg
コッキンNUANCES 256使用。F8.0 4秒 24mm域。Pシリーズフィルターホルダーのうち、ワイド対応のコッキンP299を使用したものの、ケラレが発生。P299自体は20mm対応としていますが、ホルダー部の内径が75mmのため、フィルター径82mmのトキナー 24-70 F2.8 PRO FXではケラレます
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コッキンNUANCES 256
使用。F8.0 6秒 焦点距離を29mmとして、ケラレをなくしました。

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コッキンPURE EXCELLENCE C-PLNUANCES 256を重ね使用。C-PLの先に82mmアダプターリングとP299を重ねました。焦点距離は34mmとして、ケラレ対策。
F8.0 30秒 ISO-100

 
DSC_1522.jpg

F16 30秒 ISO-100 34mm域。

30秒というスローシャッターで雲を流しました。

コッキンNUANCES 256という高濃度フィルターでは、肉眼を超えた写真世界を表現できます。
ガラスフィルターの角型は、移動時にはホルダーに入れたままだと落下、破損の危険があるため、必ず取り外して移動すること、といった注意を守り、新たな作品造りに活かしていただければ幸いです。

コッキンNUANCESを触って検討できるケンコー・トキナーサービスショップ(中野)

http://www.kenko-tokina.co.jp/service-shop/ 


<写真・文:広報・宣伝課 田原 栄一>

 

 

 

 

 

 

ローポジション撮影に「クリップヘッド90」

 
Posted:2016.04.24 ブログを購読

 

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三脚でローポジション撮影をするとき、普通、三脚を開脚して対応します。

しかし、三本の脚の真ん中にカメラがあると被写体に近づきづらいことがあります。スリックではかなり前から気づいたのでしょう。脚のパイプにカメラを取り付けるアクセサリーを作っていました。「スリック ロアー」、1970年代のシステム三脚のアクセサリーとしてです。その後、脚パイプの真ん中に雲台を取りつけるパーツを装備した「88D」を発売したこともあります(しかしながら、このコンセプトの製品は今は作られていません)

今、発売されている同様のアクセサリーは「ロアーII(クランプヘッド32)」がありますが、一番の問題はカーボン三脚に使えない、ということ。カーボン三脚にクランプを使うと、パイプがミシミシ音がする(割れそうになる)ことがあります。

そこで、軽量機材用ですが、カーボンパイプにも使えるのが「ケンコーSP クリップヘッド90」。

カーボンパイプに取り付けても、このクリップであれば悪影響はありません。

1kgまでの搭載機材に対応するわけですので、今回はOM-Dで撮影するのに使いました。
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かなり低い位置で撮影できますので、ローポジションでの撮影に大変便利です。

<写真・文:広報・宣伝課 田原 栄一>

 

激落ちくん カメラレンズクリーナーが「CP+2016ワールドプレミアアワード」でグランプリに選定されました!

 
Posted:2016.03.01 ブログを購読

平成28年2月25日(木)から28日(日)まで、パシフィコ横浜で開催された、カメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+2016(シーピープラス2016)」。

多くの方にご来場いただき、ありがとうございました。

その中で、新しく催されたのが「CP+2016注目企画」として「来場者の方々の投票で決める!ワールドプレミアアワード」というものです。

 

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これは、1月10日以降に世界初発表された、つまりCP+で世界初発表がされた製品「ワールドプレミア製品」の中からグランプリを決めるもの。来場者の方の投票によってきまるもので、2月25日(木)~27日(土)の10時から18時まで(25日のみ12時から)展示ホール内の投票ブースにて投票されました。

4つの部門のうち、フォトアクセサリー部門でグランプリに選定されたのが「激落ちくん カメラレンズクリーナー」でした。

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ケンコー・トキナーブースで製品に触れていただき、体験していただいた皆様の投票のおかげと感謝しております。ありがとうございました!

(広報・宣伝課 田原 栄一)

 

中判フィルムスキャナーKFS-1420BFでモノクロフィルムをスキャンしてみるまでが大変だった話

 
Posted:2016.02.04 ブログを購読

先月発売となりました、中判フィルム専用フィルムスキャナー「KFS-1420BF」。最近の趣味はもっぱらモノクロフィルムの自家現像&引き伸ばしプリントで、いつかは中判も…(?)と考えている私、WEB担当Aにとっては非常に気になる新製品でございます。

 

というわけで使ってみようと思ったのですが、もちろん中判はやったことがないので中判フィルムが手元にありません。すみませーん、どこかに現像済み中判フィルムありませんかーー?と社内のあちこちに声をかけ、自分のデスクに戻ったところ…

 

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なんと、私の机の上に「マミヤRB67プロフェッショナルSD」が…!!

“自分で撮ってみたら?きっと楽しいよ!フィルム探しに行くのめんどくさいからby T原”、とのことです。

 

う~ん、はたして私にできるのだろうか…。とにもかくにも早速フィルムを買ってきました。

 

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バラ売りしてるのがこれしか見つかりませんでした。「イルフォード HP5 PLUS 400」です。

 

あれ?ところでこれどうやってフィルム入れるの…?説明書を読んだり2Fのサービスショップのスタッフさんに手を借りながら、なんとか装填完了!いざ撮影へ!

 

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なにこれ超重いんですけど…。しかしかの有名な女性写真家は、なんと手持ちで(!)このシリーズのカメラを使われているというではありませんか!…がんばりましょう。

このカメラには露出計が無いで別のカメラで露出を計り、絞りとシャッタースピードをセットして撮影しました。たった10枚しか撮れないのであっという間かと思ったのですが、腕はずっとプルプルするし屋上は寒いしでもう帰りたい…。

 

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現像はおうちで。普段はトライXを使っているので現像液がKodak D-76しかありません。HP5 PLUSとD-76の組み合わせの現像データを調べて(D-76 原液 7分30秒 20℃)やってみました。ちょっと眠いネガになってしまったような…?

それにしてもやっぱり中判フィルムは大きいですね~~。リール巻きに失敗して、1コマ目が傷だらけになってしまいました…。

 

 

さぁ、やっとスキャンです。ここまで長い道のりでした…。

しかしフィルムをセットしようとしたところ、なんとフィルムホルダーにフィルムが収まりません!マミヤRB67はその名の通り6×7判で、私はフィルムを3コマずつカットしたのですが、これだとホルダーからはみ出してしまいます。2コマずつカットすれば良かった…。泣く泣く1コマ切って、セット完了。

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KFS-1420BFの使い方は至って簡単。SDカードを入れ、フィルムタイプをポジ/カラーネガ/モノクロネガの3つから選び、サイズは6×7を指定し、スキャンボタンを押すだけ。今までの苦労は何だったのかと思うほどらくちんです。

このスキャナのいいところは、スキャン前に露出補正ができるところです。もしかしてこの写真、空の色が飛んでしまうかも?と思ったら念の為に暗めでもスキャンしておくと安心です。露出違いをたくさんスキャンしておいて、あとからパソコンでHDR合成なんてことも…?

 

というわけで、KFS-1420BFで露出補正-1.5にしてスキャンした画像です。 » 元データはこちら

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あっ、ちょっとナナメになってる…のは私のカメラの持ち方が下手なせいでKFS-1420BFのせいではありません…。

1/2.3型のイメージセンサーにしてはなかなか健闘しているのではないでしょうか…?!さすがに等倍観賞ではモヤっと感が否めないところではありますが、2Lプリントや、縮小してSNSに上げたりするのには問題なさそうです。

 

ネガがやっぱりちょっと眠いかも…?それともスキャナーの性質?

しかしモノクロプリントは最初からコントラスト強めの状態から始めるよりも、コントラスト弱めの状態から、徐々に自分好みのコントラストをつけていく方がやりやすいといいますしね。

 

家ではたまに、撮った写真をSNSに上げるためにKFS-500という35mm判フィルム用のスキャナーでスキャンすることがあるんですが、それはPCに繋いでスキャンするタイプのもので、スキャン時に調整が一切できません。コントラストが強めにつくので、なかなか印象的なモノクロ写真になってくれるのですが、たまにちょっとコントラスト落としたいなーと思ってあとから画像編集しても、黒つぶれしたところは戻ってこなくてがっかりすることがありました。

…しかしその点において、今回のKFS-1420BFなら後から画像編集で遊べる余地が(KFS-500に比べると)残っているので面白いのではないでしょうか!!

 

というわけでKFS-1420BF、とっても簡単に中判フィルムをデジタルデータにしてSDカードに保存してくれる、お手軽・便利なフィルムスキャナー。SDにどんどん保存しておけば、そのままSDを持っていってお店プリントをお願いしたり、デジタルフォトフレームで再生したりできます。あとはPCに取り込んで編集したり、印刷したり、ブログに上げたりして、楽しみが広がりますね~~。中判フィルムがお手元にある方、まだまだ中判で撮ってるぞという方も、ぜひご検討くださいませ。

 

» KFS-1420BF 製品ページへ

 

※おまけ

PhotoshopではじめてHDR合成を使ってみました。思ったより自然な感じです。なんだか立体的になったような…?

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(WEB担当:A)